「心と体を守る教育」ってどんな教育?
プラン・インターナショナルが推進する「心と体を守る教育」は、単なる性知識の伝達にとどまりません。「人間関係」「感情の扱い方」「自己尊重」「性的同意」といった多岐にわたる内容を包括的に学ぶことを目指しています。これは、子どもたちが自分の存在の尊さを知り、多様性を尊重しながら他者と向き合い、適切なコミュニケーションや自己防衛手段を学ぶための大切な基盤となります。正しい情報を得ることで、インターネットやSNS上の誤情報に振り回されるリスクが減り、性的トラブルなどを未然に防ぐ効果も期待できるでしょう。
この教育は、プラン・インターナショナルが展開する「SRHR for JAPAN」キャンペーンの一環として進められています。
SRHR for JAPANキャンペーンについて、詳しくはこちらをご覧ください:
https://srhrforjapan.com/
調査の概要
今回の調査は、全国の高等学校に在籍する生徒の保護者を対象に、2025年9月1日から10月24日にかけてオンラインアンケート形式で実施され、1,906名から有効回答が得られました。この調査は、保護者が「心と体を守る教育」に抱く期待や不安を明らかにし、学校現場での導入や制度化を後押しするエビデンスを得ることを目的としています。
調査レポートの全文はこちらから確認できます:
「心と体を守る教育」に関する保護者意識調査レポート(2025年)

調査結果から見えてきた保護者のホンネ
全国の高校生の保護者から寄せられた「性・心・人間関係」に関する教育についての回答を分析したところ、多くの保護者が学校での段階的・体系的な性教育の実施を望んでいることが分かりました。同時に、「どのように教えられているのか知りたい」という情報公開への強いニーズも明らかになっています。
1. 「心と体を守る教育」への高い関心と共感
「心と体を守る教育」の理念に対し、約99%の保護者が共感を示しました。「とても共感する」「ある程度共感する」を合わせると1,880件に達し、知識の伝達にとどまらない包括的な教育への期待が非常に高いことが分かります。
性教育という言葉から連想される内容としては、「性交や避妊の知識」が89.3%と最も多く、次いで「思春期の身体の変化」が75.6%、「感染症(性感染症等)予防」が67.0%でした。しかし、「自分の身体の大切さ・心の成長」が65.0%、「性的同意・境界の尊重」が53.3%と、心や人間関係に関する項目にも高い関心が寄せられています。

2. 教育内容への期待と不安の共存
保護者は「妊娠・避妊」「性的同意」「SNSトラブル対応」といった実生活に即したテーマへの強いニーズを持っています。一方で、「教員の指導体制」「内容の適切性」「家庭の価値観との違い」といった不安も一定数見られました。
学校で行われる性教育に対する印象としては、「ある程度は必要だと思うが内容には慎重であってほしい」が40.0%、「もっと充実させてほしいと思う」が35.8%という結果が出ています。また、23.0%の保護者は「どのようなことを教えているか知らない」と回答しており、情報不足が不安につながっている可能性も示唆されています。

学校で性や心の発達について学ぶことへの不安では、「SNSやネットの情報と混乱しないか不安」が39.8%で最も多く、「教員が適切に教えられるのか心配」が35.6%、「子どもにふさわしい時期・年齢で教えられているか不安」が30.8%と続きました。

3. 外部専門家への信頼
「学校の先生と外部専門家が連携して行う授業」(1,239件)や「専門家による授業」(1,365件)を支持する回答が多く、助産師、看護師、心理士、医師などの専門家の関与への期待が高いことが分かりました。自由記述では「担任への気まずさ」や「教員の専門性不足」への懸念も指摘されており、教育の担い手に多様性を持たせる必要性が示唆されています。
4. 保護者との情報共有の重要性
保護者の不安の背景には、「教育内容が見えないこと」への不安感が大きく影響していると考えられます。「授業内容の事前説明」(1,178件)、「教材の事前確認」(1,108件)、「保護者説明会の実施」(1,027件)など、教育内容の可視化と学校との信頼関係構築が強く求められています。自由記述からは、多くの保護者が、受け身ではなく、教育に参画したいという積極的な姿勢を持っていることも読み取れます。
学校の性教育に期待する役割としては、「自分を大切にし、他者を尊重する姿勢を育てる教育をしてほしい」が49.5%と最も多く、「性的な知識だけでなく、心の発達や人間関係についても教えてほしい」が26.7%でした。

5. 発達段階に応じた教育の必要性
「体系的に教えてほしい」(795件)、「小学校低学年から段階的に教えてほしい」(769件)といった意見が多く、年齢や発達に応じた構造的で連続的なカリキュラムへの期待が示されました。自由記述でも、「思春期を迎える前に基礎を学んでおくべき」といった意見が寄せられています。
6. 多様な価値観・背景への配慮の必要性
性や心の教育に関しては、家庭の文化的・宗教的背景や価値観が大きく関わってきます。自由記述では、「家庭の価値観との差異」や「発達特性への配慮」など、画一的ではない柔軟な対応の必要性が指摘されました。
今後の取り組み
今回の調査結果を受け、プラン・インターナショナルは自治体、学校、保護者と連携しながら、以下の取り組みを進めていくとのことです。
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自治体と連携したパイロット授業の実施: 発達段階に応じた教育プログラムを策定し、学校現場で活用できる具体的な学びのモデルを提示します。第三者評価も導入し、より実効性の高い取り組みへとつなげていく計画です。
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教育実践を支える外部専門家ネットワークの整備: 専門家の知見を学校現場に届ける体制を強化し、教育実践を支える環境づくりを推進します。
アドボカシーグループリーダーの長島美紀さんは、「性教育に対する不安や慎重な思いがある一方で、専門家の関与や年齢・発達に応じた教育の必要性を支持する声が多く寄せられました。これは、保護者の皆さまが『安心して任せられる性教育』を求めていることの表れであり、同時に大きな可能性も示しています。保護者の声に応えながら、安心して学べる環境づくりをご一緒に進めてまいります」とコメントしています。

国際NGOプラン・インターナショナルについて
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援しています。
詳細はこちらから:
https://www.plan-international.jp/






