「結婚詐欺罪」という犯罪は存在しない
まず、一番大切なことからお話しさせてください。「結婚詐欺だ!」という言葉は日常でよく耳にしますが、実は法律上「結婚詐欺罪」という犯罪は存在しないのです。これ、意外に思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
もちろん、人をだまして金銭を奪う行為は「詐欺罪」に問われる可能性がありますが、「結婚する約束を破った」というだけでは詐欺罪にはあたらないのが原則です。相手が「結婚詐欺だ」と言うとき、本当に求めていることは、大きく分けて次の3つのいずれか、またはその組み合わせである場合が多いようです。
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刑事責任(処罰)を問いたい:相手に罪を償ってほしいと考えているケースです。
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渡した金銭を返してほしい:貸したお金や、渡したお金を返してもらいたいと考えているケースですね。
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慰謝料を請求したい:精神的な苦痛に対する賠償を求めているケースです。
これらはそれぞれ法的な要件が異なり、対応も大きく変わってきます。相手が何を求めているのか、そこを見極めるのが大切なんです。皆さんも、もしもの時に備えて知っておくと安心ですよ。
なぜマッチングアプリでトラブルが起きやすいのか
僕もアプリを使っていた時期があるので、このあたりの気持ちはよく分かります。マッチングアプリでの出会いには、トラブルにつながりやすい特徴がいくつかあると言われています。
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プロフィールが自己申告制:年齢や職業、収入などが自己申告のため、後から事実と異なることが判明すると「最初から嘘をついていた」と受け取られやすい一面があります。
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短期間で親密になりやすい:メッセージのやり取りが密になり、短期間で結婚など将来の話が出やすい傾向があります。
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早い段階で金銭が動くことも:食事代の立て替えやプレゼント、旅行代などが交際初期に発生することがあります。
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関係の終わり方が曖昧に:ブロックやアプリの退会で連絡が途絶えてしまい、「お金だけ受け取って逃げた」と評価されやすいこともあります。
これら自体が悪いわけではありませんが、相手が不信感を抱いたときに「詐欺だったのではないか」という疑念につながりやすい構造がある、ということなんですね。
刑事の詐欺罪が成立する場面は限られている
詐欺罪が成立するには、「人をだます行為」と、それによって相手がだまされて「財産を渡してしまう」という流れが必要です。ここで大きなポイントになるのは、お金を受け取った時点で、だまし取る意思があったかどうかです。
例えば、「結婚するつもりだったけれど、後から気持ちが変わってしまった」とか、「返すつもりだったけれど、返せなくなってしまった」という場合には、詐欺罪にはあたらない可能性が高いです。僕たちも、人との関係や気持ちが変わってしまうことはありますよね。それが直ちに犯罪になるわけではない、ということです。
ただし、同時期に複数の人と同様のやり取りをしていたり、お金を受け取った直後に連絡を絶ったりするような客観的な事情があれば、「最初からだますつもりだったのでは?」と疑われることもありますので、注意が必要です。
詐欺にあたらなくても、責任が残る場合がある
「詐欺ではない」と判断されたとしても、そこで全ての問題が解決するわけではありません。例えば、相手から借りたお金があれば、その返済義務は当然残ります。これは、犯罪であるかどうかとは別の話ですよね。
また、プロフィールに嘘があった場合、それが慰謝料の問題に発展することもあります。例えば、既婚であることを隠して交際していたケースでは、貞操権(性的自己決定権)を侵害する不法行為にあたるとして、慰謝料の支払いが命じられた裁判例も報じられています。信頼を裏切る行為は、やっぱり許されることではないですよね。
一方で、メッセージのやり取りに結婚や将来に関する内容が見当たらなかったり、利用していたアプリが必ずしも結婚を前提とするものではなかったりする場合には、「結婚を前提とした交際」とは認められず、慰謝料請求が棄却された裁判例もあります。つまり、嘘の有無だけでなく、二人の関係性ややり取りの具体的な中身が判断の決め手になる、ということなんです。
アプリのやり取りは、自分を守る証拠でもある
先ほどの裁判例からも分かるように、メッセージのやり取りはとても重要な判断材料になります。だからこそ、皆さんのやり取りの記録は、いざという時に自分を守るための大切な証拠にもなるんです。
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アプリによっては、退会やアカウント削除でメッセージ履歴が見られなくなることがあります。相手からブロックされた場合も含め、自分の端末で確認できる範囲は早めに保存しておくことをおすすめします。
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プロフィール画面、メッセージ、送金や振込の記録など、日付が分かるものをまとめておくと良いでしょう。
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自分に不利に見えるやり取りも、削除せずに残しておくことが大切です。都合の悪い部分だけが欠けていると、説明全体の信用性が下がってしまうかもしれません。
「見たくないからアプリごと消した」という対応が、後から自分の言い分を裏づける材料まで失わせてしまうことは少なくありません。僕たちも、焦って間違った対応をしてしまわないように、一度立ち止まって考えてみましょう。
請求の「形」によって、放置してよいかが変わる
相手からの請求が来た時、それがどのような形で届いたかによって、対応の緊急度は異なります。
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LINE・電話・メール、相手の代理人からの通知:これら自体に法的な強制力はありません。しかし、放置していると次の法的手続きに進む可能性もあります。
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内容証明郵便:郵便局が差し出した事実と文面を証明するもので、書かれている内容が正しいと証明するものではありません。ですが、時効の完成猶予(停止)の意味を持つ場合があります。
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支払督促:受け取ってから2週間以内に異議を申し立てないと、相手の言い分通りに手続きが進み、財産を差し押さえられるおそれがあります。これは絶対に放置してはいけません。
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訴状:裁判所から届く正式な書類です。答弁書を出さず期日にも出席しないと、相手の主張を認めたものとして扱われ(擬制自白)、争えば認められなかったはずの請求が通ってしまう可能性があります。これも放置は厳禁です。
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警察からの連絡:多くは任意の呼び出しです。無視は避けるべきですが、話す前に弁護士に相談してください。一度署名した供述調書の内容を後から覆すのは容易ではありません。
裁判所や警察から届いたものは、内容に納得できなくても放置しないことが非常に重要です。もし届いたら、まずは落ち着いて、信頼できる人に相談してみてください。
応じる前に避けたい5つの対応
不安な状況で焦ってしまう気持ちはよく分かります。でも、感情的な対応が事態を悪化させてしまうこともあります。特に、次の5つの対応は避けるべきだと考えられます。
- ブロック・アカウント削除・履歴の削除:逃げたと評価されやすく、大切な証拠も失われてしまいます。
- その場で「返します」と言う、一部だけ支払う:債務の承認や事実の自認と評価され、後から「返す必要はない」と主張するのが難しくなることがあります。
- 感情的な直接交渉:売り言葉に買い言葉のやり取りが、そのまま証拠として残ってしまう可能性があります。感情的になってしまう気持ちも分かりますが、ここはぐっとこらえて冷静に対応することが大切です。
- 裁判所からの書類の放置:先ほどもお伝えしましたが、争う機会そのものを失ってしまいます。
- SNSでの反論や、相手を特定できる形での投稿:名誉毀損などの責任を問われかねません。たとえ自分が被害者だと思っていても、SNSでの公表について賠償を命じられた事案も報じられています。
請求が一線を越えている場合
もし、「家族や職場に知られたくなければ払え」「警察に行かれたくなければ示談しろ」といった形で金銭を要求されたら、それは恐喝罪や脅迫罪にあたる可能性があります。このような場合は、一人で抱え込まず、すぐに専門家に相談することが大切です。僕たちも、自分の身を守るためにも、適切な対応を知っておく必要がありますね。
まとめ:一人で抱え込まず、相談を
マッチングアプリでの出会いは、現代において非常に一般的なものになりました。それに伴い、予期せぬトラブルに直面する可能性もゼロではありません。もし「結婚詐欺だ」と言われたら、次の点を思い出してみてください。
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相手が求めているのは、処罰か、金銭の返還か、慰謝料か。
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金銭の交付がなければ詐欺罪の問題にはならず、心変わりや返済不能だけでは犯罪にあたらない可能性が高いです。
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一方で、借りたお金の返済義務や、嘘をついた点についての慰謝料の問題は別に残り得ることもあります。
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判断の決め手はやり取りの中身であり、記録は自分を守る材料でもあるので、大切に保存しておきましょう。
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裁判所からの書類だけは、内容に納得できなくても絶対に放置しないことが重要です。
不安な状況で一人で判断すると、後から取り返しのつかない対応をしてしまうこともあります。請求の内容と届いた形式を整理したうえで、早い段階で弁護士に相談されることを、心からおすすめします。専門家の力を借りることも、時には勇気ある選択です。皆さんの出会いが、素敵なものになることを心から願っています。
それでは、また次のコラムでお会いしましょう!KENSAKUでした!




